私たちの生活に欠かすことのできない住宅、家族が安全・安心に暮らせる環境のために、健康や自然環境にも配慮したシロアリ対策を願っています。
このページでは世の中でよく知られている農薬によって得られるシロアリの駆除や予防というメリットの側面ではなく、人の身体や生態系・自然環境などへの悪影響などデメリットについても知っていただき判断材料の一つとなれば幸いです。
健康や環境問題に関しては、今すぐに何かをしなければならないという緊急性や必要性を感じないことがほとんどではありますが、「将来的にどうなっていくのか?」次世代の子供たちに残す環境という視点でも考えてみる必要があるのではないでしょうか。
「農薬」を使ったシロアリ対策のデメリット
日本の防腐・防蟻(シロアリ予防)処理の70〜80%がネオニコチノイド系・ピレスロイド系等の合成殺虫剤(農薬系薬剤)を使用しています。
人の脳への影響
ネオニコチノイド系農薬(合成殺虫剤)は、神経毒であることから 人間の脳の発達障害や自閉症、ADHD等を引き起こす原因になっていると考えられています。
生殖機能への影響
ネオニコチノイド系農薬はラットの精子形成および受精とその後の発達に影響が見られるとの報告があり、幼児の精神や身体の発達に影響を及ぼすことが懸念されています 。
生態系への影響
ネオニコチノイド系農薬は、昆虫に特に選択的な神経毒性を持つとともに、水に溶けて地下水や周辺の植物に 取り込まれ、長い間分解されないという残留性も持ち合わせています。
シロアリ駆除がアレルギー等を引き起こす原因にもなる
シロアリ駆除の薬剤に使用されている農薬は、ほとんどの場合すぐに健康を害するほどの激しい症状を感じることはありませんが、農薬がその場に長期間留まり続けるため毎日少しずつ摂取してしまうことになります。
特にアレルギー体質や化学物質過敏症の方、赤ちゃんや小さなお子様には注意が必要です。農薬だけでなく住宅や家具に使われている薬剤や化学物質によってシックハウス症候群になると、目眩や頭痛がしたり、熱や痛みを感じるといった症状が出ることもあります。シロアリ駆除や予防に使用された薬剤(農薬)が原因なのか、そのほかのものが原因かは判断が難しいところですが、農薬がアレルギーの一因となっている可能性はあります。
「健康志向」は食べ物だけで大丈夫なのか?
農作物の農薬
食の安全に関心がある方はご存知かもしれませんが、日本の農薬使用量は世界でトップクラスです。FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、日本の農薬使用量は2017年時点で農地1haあたり11.8kgで、世界5位の使用量です。
材料の農薬
パンやパスタ等あらゆる食べ物の材料となる小麦にも農薬が使用されているケースがあります。アメリカやカナダなどからの輸入小麦は、収穫しやすくするためのプレハーベスト農薬(主にグリホサート)も使用されています。
住空間の農薬
食べ物に使用されている農薬については摂取しないように気を付けている方が増えていますが、シロアリ駆除や予防にも農薬が使用されていて人体に影響があることを知っている方はほとんどいないのではないでしょうか?
住空間の農薬は人体に影響している可能性が高い
このグラフは日本臨床環境医学会の2000年の会報【臨床環境医学第9巻第2号】に掲載された、東京大学生産技術研究所の研究結果報告による、人が体内に汚染化学物質を取り入れる経路の割合を示した結果です。
室内の空気からの摂取率が57%と最も高く、食物は7%・飲料からは8%と意外と思われるかもしれませんが、室内の空気からの摂取が大半を占めているという研究があります。
毎日暮らしている住宅の空気が農薬で汚染されてしまっていたら、かなりの量を摂取していることになりますので、シロアリ対策に用いる薬剤についても慎重に検討する必要があるのではないでしょうか?
殺虫剤に使われる代表的な農薬
神経系に作用する化学農薬として殺虫剤・殺ダニ剤に使われている農薬は、有機リン系・カーバメート系・ピレスロイド系・ネライストキシン系・ネオニコチノイド系などがあり、ヨーロッパの主要先進国では自然環境への悪影響が高いとして、ネオニコチノイド系の農薬系薬剤は使用禁止になっています。
しかし、日本においてはネオニコチノイド系の農薬系薬剤の使用に関する規制がない上、逆に使用料の規制緩和が実施されているような現状です。農薬系の薬剤を使えば虫を防除できるというメリットはあるものの、様々なデメリットも理解した上で慎重な選択をしていただきたいと考えています。
その他の農薬による影響
ミツバチの減少
ネオニコチノイド系農薬は、神経毒であるため虫の神経系を狂わせる可能性があり、ミツバチが持つ働きを狂わせ方向性を失ったり巣に戻れなくなったり、「蜂群崩壊症候群」という巣には蜜やサナギや女王蜂がいるのに働きバチがいなくなってしまう現象の原因ではないかとも言われています。
生態系の破壊
ネオニコチノイド系農薬は、水に溶けて地下水や周辺の植物に取り込まれて長い間残留し、長期間持続的に周囲の生態系へ影響を与えてしまいます。農薬を含んだ水を飲んだり種や葉を食べる鳥類・哺乳類・水生生物たちの免疫低下や生殖機能の異常などの原因とも考えられています。
環境問題の悪化
このページで紹介している農薬に限らず、農業や工業など様々な人間の活動によっておこされる、土壌汚染・水質汚染・大気汚染は環境に質を低下させてしまい、地球上に住む人間だけでなく全ての生き物の生活をおびやかしてしまいます。